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【少年ノ作法1】の解説と本篇

【少年ノ作法1】の解説と、ツイッターから移動した本篇を文末に。(※後日順番を入れ替えました)
紅雀の出自と物語「ぜんまい島綺譚」についても少々。

「紅雀君。ぼくはね、君のことを残念なひとだと思う」


【少年ノ作法1】本篇

 「先生」――そう白樺つぐみが音橘未明を呼ぶ度、藪不知紅雀の心の和毛は逆立つ。その声色に、自分と彼女の間にはない絆のようなものを感じて。
 彼女が自分の世話をするよう手配したのも未明だった。

 「大丈夫ダヨォ。つぐみサンは親父殿みたいなイケスカナイ男よりも、紅雀君みたいな庇護欲をソソラレル少年のほうが気になって仕方ないから! なにせつぐみサンは偽善者ダカラネェ」
 ――父親同様、子もいけすかない。

 そんな紅雀であったが、つぐみが月彦のようなまっとうな男と親しげに話していれば、自分はつぐみに相応しくないと云った弱気な思考に支配され、いけすかない親子をまた微笑ませるのだった。
 


【少年ノ作法1】解説

 「心の和毛」は、「心のデリケヱトな部分(……)」と云った意味の表現になります。
紅雀は保護者的な立場にある未明のことが諸事情により嫌いで、そこには自覚のある八つ当たりも含まれているからなお厄介で、さらにはつぐみの件で嫉妬も加わった、そんな感情を持て余す少年です。

 表面上はツンツンしていても真面目で内省的な性格をしているので、嫉妬の形も気に食わない未明に対してはイライラと相手へ向かいますが、「つぐみとお似合い」と(勝手に)認める月彦に対しては、半吸血鬼な自身への嫌悪や幼少期のトラウマの影響もあり、矛先がクヨクヨと自分へ向かいます。

 俺もあんな男に生まれたかった。忌まわしい出自もなく、眸も髪も黒く、あの男(未明)の甥とは思えぬ品のある温厚な人格、仕事も持っていて上背も年齢もつぐみと釣り合う美女と美男でお似合いの……

「大丈夫ダヨォ。つぐみサンは月彦みたいな出来た男よりも、紅雀君みたいな(以下略)」
「……!(考えていることが分かるのか!?)」
「ソノ半紙張りの真ッ白い顔に、みィんな書いてあるんだケド?」
「なっ!」
「デモォ、紅雀君て離淡先生がつぐみサンと仲良くしているのには、全然ッ動じないヨネー」
「……」
「残酷ダナー」

 紅雀は吸血鬼の父を母(人間)の仇としており、母の不倖の結果として生を受けた己を忌まわしく思う気持ちが強いキャラクターです。
 そんな紅雀の心境にも、物語「ぜんまい島綺譚」の結末により変化が起こされ……。
 大筋としては、紅雀が父との関係に決着を付け、そして十二階の天使が解放される物語になります。
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